第53回LC研究会のお知らせ

第53回LC研の案内です。

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第53回LC研究会
日時: 2014年6月20日(金) 17:00〜19:00
場所: 国立情報学研究所20階2006室
発表者: 小室允人(総合研究大学院大学)
題目: 故障したロボットと人間はどのように相互行為するのか—ロボット演劇の事例から—
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概要

本研究では,ロボット演劇の録画データを用いて,舞台上で故障してしまうロボットに対する役者らの即興的な相互行為実践に焦点を当てる.本研究に用いる録画データは,2013年5月に大阪にて上演された,ロボット版「銀河鉄道の夜」(作・演出:平田オリザ)の稽古風景を撮影したものである.公演には,大阪大学石黒研究室が開発した日常活動型ロボット「ロボビー」がカンパネルラ役として出演している.
録画データの中に,役者として出演しているロボットが,本来の台本,演出とは違った振る舞いをしている場面がしばしば観察された.具体的には,公演初日前日にマスコミに対して行われたゲネプロダクションにおいて,ロボット側の不具合により,ロボットの台詞と,役者らの台詞がズレてしまうという場面である.当然ズレてしまったロボットの台詞は,文脈上非常に不適切なものとして私たちには聞こえる.
しかしデータを良く観察してみると,台詞にズレが生じてしまったからといって,舞台上の相互行為自体が崩壊しているとは観察できない.確かにロボットの台詞自体は,コミュニケーションとして,不適切なものと聞くことはできる.しかし例えその台詞が不適切であっても,役者らはその不適切な台詞を,何かしら実践的なやり方で理解し,その台詞に対して合理的な理解のもとに振舞っているよう見えるのである.
本研究の目的は,役者らがいかにして,ロボットの不具合に対して,舞台上で相互行為的な実践を達成しているのかを明らかにすることである.