第20回LC研究会のご案内

第20回LC研の案内です。

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第20回LC研究会
日時: 2010年12月22日 (水) 17:00〜19:00
場所: 国立国語研究所モニター室
発表者: 寺岡丈博(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
題目: 動詞連想概念辞書の構築とその応用〜連想に基づいた意味理解の研究〜
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概要

コンピュータの言語理解機能を向上させて人間に近付けるためには,人間が持つ複雑で膨大な言語関連情報を体系化して使用できるようにする必要がある.現在,自然言語処理の分野で主流になっている統計的処理の手法では精度に限度があり,言語表現の多様性を踏まえるとこれ以上の精度向上は困難である.そこで,人間の常識などの知識を人間自身の連想によって集めて体系化し,利用することが精度の向上に必要であると考えられている.今日までに様々な言語資源が開発・構築されてきたが,人間の言葉に対する連想から成り立つものは少なく,特に動詞に対しては連想から成り立つ資源がほとんど無い.日常の
文脈や会話において動作や状態変化を表す動詞は意味理解で中心的な役割を果たしていることを踏まえ,本研究では動詞の深層格情報を抽出する連想実験を行い,大量の連想データから動詞連想概念辞書を構築することで動詞における知識の体系化を図った.ここでは刺激語と連想語の単語間距離を定量化することにより,意味的な距離を計算可能にしている.本研究では,既存辞書との比較や省略語推定システムへの応用を通して動詞連想概念辞書の性質と有用性を評価するとともに,比喩理解や照応解析などの応用手法を提案する.