第49回LC研究会のお知らせ

第49回LC研の案内です。

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第49回LC研究会
日時: 2013年10月18日(金) 17:00〜19:00
場所: 国立情報学研究所12階1208会議室
発表者: 宮本淳子(常葉大学短期大学部)
題目: 発話頭の「は」が生み出す「共話」
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概要

話し言葉特有の現象として、隣接ペア「質問—応答」の応答側の発話頭に現れる「は」(wa)は、前接の語句を必要とする助詞の「は」であると考えられる。従来、付属語としての観点から発話の誤りとして解釈されていた助詞の単独使用であるが、発話頭の「は」は、日本人の新しいコミュニケーションスタイルを解明する上で重要な位置付けとして注目されている。現在、発話頭の「は」は、主に丁寧な対応を意識する場面で用いられているものの、相手に対し「は」に前接する語句の連想・推論を強制することは、本来、丁寧さを欠いた表現である。一方で、その「は」により、相手の発話内の語句を的確に取り立て、結びつきを示すことは、会話への積極的な参与姿勢を示すと同時に、誠実さ・好意・敬意の表明として丁寧な対応を伝え得ることも確かである。これは、いわば発話頭の「は」が有する「配慮の二面性」である。本発表では、この矛盾について、日本人の会話における特徴の一つである「共話」の観点から談話データを分析し、考察する。