第42回LC研究会のご案内

第42回LC研の案内です。

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第42回LC研究会
日時: 2013年1月25日(金) 17:00〜19:00
場所: 国立情報学研究所12階1213室
発表者: 滝沢恵子(早稲田大学人間科学研究科)
題目: 日本人学習者の英語対話における流暢性に関する研究
―話者交替時における重複が示す学習者の流暢性の段階―
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概要

文部科学省が平成15年に策定した「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画」では、実践的な英語コミュニケーション能力をつけることを目標として強調している。その英語コミュニケーション能力はどうやって測ることが可能か。スピーキングテストやTOEFL等、スピーキング力を測るとされているテストは存在するが、英語コミュニケーションには対話相手が存在する。そのため「対話のやりとりの流暢性」に注目すると、流暢にスピーキングはできるが、対話相手が存在する実際の英語音声対話の流暢性には欠ける学習者が存在するだろう。表面上流暢に話しても、対話において実際には母語話者とは異なる重複が起こっているとしたならば、それは対話として円滑とは言えず不自然であり、対話中に相手のストレスとなりうる。スピーキング力に加え、他者との対話において不自然なポーズ・重複なしにスムーズに対話を遂行できることが、究極的に学習者の目指す「英語を話す」目標点の一つと考えられる。すなわち自然な話者交替のタイミングを獲得している学習者こそが、より自然な英語コミュニケーション力を持っていると言えるだろう。
本研究の目的は、日本人学習者と母語話者との英語対話における流暢性の差異を、話者交替の点から検証することである。母語習得とは異なる第二言語習得メカニズムを、話者交替における重複率・タイミングという定量的指標をもとに評価する。さらに日本人学習者の事前インタビューから得た経験やプロフィーに併せて、重複の違いを考察することにより、学習者の英語対話経験が対話の流暢性に及ぼす影響を探る。