第51回LC研究会のお知らせ

第51回LC研の案内です。

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第51回LC研究会
日時: 2014年3月27日(木) 17:00〜19:00
場所: 国立情報学研究所12階1208室
発表者: 吉川正人(慶應義塾大学)
題目: 動的な型の「構築」としての文処理モデル: 事例基盤構文理論の提案
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概要

文法理論をヒトの言語処理の観点から見た時、そこには二つのアプローチが存在すると言える。一つは文処理を「解析」と捉えるアプローチで、主流派生成文法等、派生主義的な見方が相当する。もう一つは、文処理を「型判断」或いは「分類」と見做すアプローチで、(部分的には) HPSGや、「構文文法」(Construction Grammar)と称される諸理論が相当する。理論的な優劣は別にして、ヒトの処理モデルとして考えた時にはいくつかの点で後者の優位性を指摘できる。しかしながら、従来の「型判断」アプローチ、特に構文文法では、オンラインの文処理モデルとしては、文の「型」を具体的な音列・文字列から導き出す、所謂「対応付け(linking)」の問題が扱われていないという重大な問題を指摘できる。そこで本発表では、認知心理学の分野で特にカテゴリー判断のモデルとして発展してきた、事例(基盤) モデル(Exemplar(-based) Model)を援用し、文処理を文事例の想起と転用による型判断と捉える、新たな構文文法理論、「事例基盤構文理論(Exemplar-based Construction Grammar)」を提案する。発表では、理論の概要と共にいくつかのケーススタディを提示し、その有効性を検証する。